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卯月家のエイプリルフール その4 「ご注文はコロンビアですか?」

18:00


前回の記事はこちらです。
また初回の記事はこちらです。




ピンク色のねこ耳としっぽ、桃色の髪。そしてチェックの赤い服。
その姿を見たとき、思わず安堵のため息が漏れていた。
それは、真っ暗闇の中で、一筋の光明を見つけたときの感覚に似ていたかもしれない。




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 「さくら!」

 「ん、何?ご主じ……ん」








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思わず抱きしめる。腕の中で、くすぐったそうに動く、新桃ハートの卯月さくら。
ふわりと香る桃の香りが、私をいつもの私へと戻してくれる、そんな感じがした。



 「ね、さくら、さくらはどこにも行かないよね?」

 「なにご主人、よく分からないけど、私はどこにも行かないよ」



いつもと変わらないトーンで受け答えをした、その「不変さ」が、今の私には本当にうれしかった。
そんな私を怪訝そうに見上げていたさくらは、ふと思い出したように呟く。




 「……っぁ、もしかして、ティラミスさん達のこと……?」

 「……うん」



腕の中のさくらを解放すると、さくらは視線を落としながらぽつりぽつりと話し始める。






 「……あのね、私たちもかなり引き留めたんだよ。
  引き留めたんだけど、二人の気持ちがかなり固くて……」

 「……そっか」

 「それと、二人は『ご主人さまに直接お別れを言いたかったけれど、
  実際会ったら泣いてしまいそうだから』って言って置き手紙をしてったみたい、だね」

 「…………そっか、そっかそっか、そうだったんだね」



二人の姿を思い浮かべながら、私はさくらをじっと見つめる。
さくらは、そんな私を見つめ返した後、ふと思い出したように話題を切り替えた。



 「あ、そうだ、話は変わるけど、今年のエイプリルフールは結局艦これの卯月に乗っかったんだね」

 「うん。まあ……みずなたちには酷評だったけどね……」

 「……そうだったんだ」

 「こちとら忙しいことを分かってるはずなのにねえ。
  まあ忙しさのせいにするのは何だか負けではあるかもしれないけどね」

 「うーん、そうはいってもご主人、忙しい言いながら何だかいろいろ浮気してたじゃない」




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ぎくっ



 「知ってるんだよ?忙しい忙しい言いながら、
  実はこっそり時間見つけては『ルーンファクトリー4』やってたでしょ。
  外出先でヒマさえあれば3DS触ってたよね?」

 「い、いやぁ、何のことか分かりませんなぁ」

 「結局普通に全クリしたのにまだ触ってるあたりよく分からないんだけど……」

 「だ、だって、全クリはしたけどまだ誰とも結婚してないんだよ!!
  結婚して子供も出来るゲームなのに結婚できてないってそれはもうお茶のないお茶漬けに等しいでしょ!?

 「ご主人、ずいぶん前からただの粉末でお茶漬け出来る時代だよ……」



はぁとため息をついたさくらは、思い出したかのように続ける。





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 「ハマってると言えばそういえば、
  エイプリルフールのうさぎネタに、こっそり『ご注文はうさぎですか?』混ぜてたでしょ。
  知ってるよ?あれ最新刊の発売日当日にこっそりダッシュで買ってきてたこと」

 「いや、まあね、だってほんわかして面白いし……ていうかこっそりダッシュってどうやるのさ」

 「他のアニメや映画は全く見たことないのに、
  何故か放送開始前のアニメが入ってておかしいなーって思ったんだよね。
  まあグレートありがとウサギを混ぜるかどうかは疑問の余地があるけれど……」

 「うさぎ繋がりがホント辛くて困ってたんだよう!
  ていうか私的に今季プッシュしたいんだよう!!」

 「にしても、卯月でぴょんぴょん言ってるからって、
  卯月を卵月にしてるたまごんブログとしては、
  コテコテのうさぎアピールは逆効果になっちゃったりしないの?」

 「いえさくらさん!別にうちはたまごんブログとかいう訳の分からないジャンルじゃないですから!!
  むしろたまにはうさぎアピールしとかないと、
  本当に卵の怪獣と間違われちゃったりするかもしれませんから!!」

 「あ、そういえば最近やってる魔法使いと黒猫のウィズっていうスマホのクイズアプリで、
  Aというレアなのに使い勝手が激しく微妙そうな卵形の何某を引き当ててたよね。
  あれ今どうしてるの?」

 「いやまあ引き当てたけど!!引き当てたとき思わずお茶吹きかけたけど!!
  結局引き当ててそのまま放置してるけど!!」



まだまださくらの怒濤の快進撃は続きそうだったので、私は思わず流れを断ち切りに入る。



 「ていうかさくら!これじゃ私の近況ブログになっちゃうじゃん!
  このブログはあくまで主軸となるネタを中心に文章を展開していきたいっていってるじゃんか!!」

 「……うーん、あれだけブログ休んでたんだから、少しは近況を出した方が納得するかもしれないよ……?」

 「納得って誰が!?」

 「このブログのオーナーさん」

 「……ああ」





だれだっけこのひと



すっかり忘れてた。
始末書とか書かされるのかなあ。




 「ともかく、そう言ったわけで、少しでもオーナーさんのご機嫌は取らないといけないでしょ?」




そういうと、こちらに向いて改まったさくらは、神妙な面持ちで話を切り出し始めた。



 「でね、ご主人。ご主人は忙しくて知らなかったかもしれないけれど、
  実は私ご主人の代わりに、コロンブスさんの元でいろいろと仕事を手伝い始めたんだよ」

 「……」

 「来客応対とかもしてるんだけど、最近はいろいろと執筆についても学んでたりしてね。
  筋がいいって褒められちゃって、今度とある紙面の小さいコーナーを担当することになっちゃったんだ」

 「…………」






 「……それでね、そんな仕事を受け持っちゃったし、これからはちょっと帰りが遅くなるかもしれな」


 「嘘でしょそれ」








突然発言を遮られ、目をぱちくりさせるさくら。
そんなさくらをしたり顔でにらみつけながら、かまわず私は続ける。



 「今日はエイプリルフール。今日だけは嘘をついてもいい日だったよね。
  毎年私はこの日を、いわば『小粋なネタを披露できる日』として見てるけれど、
  大多数の人たちはそうは見てなかったよね。うん」

 「え?いや、えっと……」



反論を始めようとするさくらをさらに遮る。



 「言いつくろわなくてもいいよさくら。
  他の子ならいざ知らず、こと『さくら』に関してなら、私はどんな事だって分かるもん。
  さくらが私のことをどんな事だって分かっちゃうのと同じ、だよ」

 「……う」





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ぐうの音も出ないのか、それとも照れてしまったのか。
うつむいてしまったさくらを勝利のまなざしで見つめ続ける。



 「ティラミスと水陸の駆け落ちは真っ赤な嘘。
  水陸の性別が女だというのも、実はしゃべれたという設定も嘘だね?」

 「……ううう」

 「みずなのエイプリルフールネタ批判は本人に聞いて見ないと分からないけれど、
  ルフナがべた褒めしてた私の文章をこけ下ろすなんてのもあり得ない。
  そういえば、マロンが難しい漢字を読めるっていうのもおかしな話だったね。
  ひょっとすると、キリカさんとチルハさんの名称入れ替えも一枚絡んでるのかな?」

 「ううううう」



今の私は、まるでコロンビアをしているかのようだった。



 「どう?何か反論は出来る?」

 「…………」



しばらく押し黙っていたさくらは、観念したかのように息を吐き出したのだった。







 「ダメだね、やっぱりご主人に隠し事は出来ないよ」






次の記事はこちらです。



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